面接の傾向と対策
面接の形式と注意点
高校入試の面接形式はほとんどが個別面談か、グループ面接かのどちらかになります。
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- 個別面接
- 1人の受験生に対し、1~数人の面接官が応対する形式で、多くの学校で行われている最もオーソドックスな面接になります。
自分1人しかいないため、他の受験生を気にしなくていい形式ではありますが、その分面接官に細かい部分まで見られているということに注意してください。
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- グループ面接
- 複数の受験生を数人の面接官で面接する形式で、受験生の多い学校で行われやすい形式です。
皆が同じ質問をされることもあれば一人一人に別々の質問が投げかけられる場合もあります。もし自分と同じ意見を他の人が先に話してしまった場合でもパニックにならずに「わたしも○○さんと同じ意見です。それに○○だと思います。」など表現を少し変えたり付け加えたりしましょう。
少し自分の意見を付け加えるとより印象がよくなります。
また、グループ面接では他の受験生の意見に対して「あなたは今の意見をどう思いますか?」と突然指名される場合があるので、他の受験生の応答もよく聞いておくようにしましょう。
面接前日までの準備
服装を整える
面接では、服装が第一印象に大きな影響を与えます。「服装の乱れ」は「生活態度の乱れ」とみなされますので普段から清潔感を心がけるようにしましょう。
- 頭髪
- 清潔感のあるさわやかな髪形にしましょう。髪にフケが多い、ボサボサしている髪型もマイナスになります。
女子の場合は、前髪が目にかからないように必ずピンやゴムでまとめるようにしましょう。
- 上着
- 男子のつめえりの制服はホックやカラーをしっかりつけ、ブレザーの制服の場合はネクタイをしっかり結びましょう。女子も同様に、ネクタイやリボンをしっかり結びましょう。
校章やクラスバッジがある場合は、曲がっていないかをしっかり確認しましょう。
- ズボン・スカート
- ズボンの折り目やスカートのプリーツはきれいにプレスしましょう。
また面接官は正面に座ることが多く、ズボンの幅や丈、スカート丈は特に目立つので注意しましょう。
- 靴下・靴
- 靴下は白か紺の無地のものを、靴は黒か茶の革靴か無地のスニーカーにしましょう
- その他
- ツメはきれいに切りましょう。
指輪やネックレスなどのアクセサリー、メイクやマニキュアはしないようにしましょう。
持ち物の準備
入試要項をよく読み、受験票や筆記用具などの持ち物の準備は必ず前日にすませましょう。
早めの就寝
睡眠不足はごまかせません。目の下のくまや、顔色全体も悪くなるなど顔に出ます。面接時にマイナスの印象を与えないためにも早めに就寝するようにしましょう。
面接当日の準備
面接官と話をしている間だけが面接ではありません。「学校の校門を入ってから、校門を出るまで」が面接だと思ってください。
過去には控え室で友人と大きな声を出してはしゃぎ過ぎていたために不合格になった受験生もいます。
会場まで
指定時刻の30分前には着くように家を出ましょう。
そのためにも、準備は前日に全て済ませておくようにしましょう。
もし受験までに高校の先生とすれ違うようなことがあれば、大きな声であいさつをしましょう。そこから面接は始まっています。
面接会場に着いたら
会場の掲示や注意書きにしたがって、指定された場所に集合しましょう。
トイレは面接の前にすませ、鏡で身だしなみの確認を行いましょう。
- 控え室での注意事項
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- ・友達と必要以上におしゃべりをしない。
- ・足を組んだりせず、正しい姿勢で座って待つ。
- ・面接が終わった友達に「何を聞かれた?」などと声をかけない。
- ・むやみに席を立ったり、居眠りをしない。
面接の受け方
入室
- 01.自分の名前・受験番号を呼ばれたら、大きな声で元気よく返事しましょう。
- 02.面接部屋のドアの前でコンコンと2回ノックをします。ノックをしないで部屋に入るのは非常識だと思われます。
- 03.部屋の中から「どうぞ」などの返事があったらドアを開けます。
ノックをしても返事がないときは、もう一度ノックをしましょう。(部屋の中から返事があるまでは入ってはいけません)
部屋に入るときは「失礼します」と声をかけて入室し、ドアの方を向いてドアを閉じましょう。後ろ手でドアを閉めることは失礼になるので避けましょう。
- 04.入口のところで一礼し、いすの横(左側)まで歩き、きちんと止まってから再度一礼をします。
- 入室時の注意事項
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面接官から「かけてください」や「どうぞ」と言われるまでは椅子があっても絶対に座ってはいけません。
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- 礼の時の注意事項
- 背筋を伸ばして「気を付け」の姿勢できちんと立つ。
- 礼をする相手の目を見る。
- 30度くらい上半身を曲げる。
- 頭をあげて、再び相手の目を見る。
- 手は体につけ、真下に伸ばす。
- 礼をするときは背中を丸めないこと。
女子は手をひざの前へ持ってきてもよい。
着席
- 01.面接官から「かけてください」や「どうぞ」と言われたら、「失礼します」と言ってから座ります。黙って座らないようにしましょう。
- 02.座るときは背筋を伸ばして、深く腰をかけます。
手はひざの上に置き、足はきちんとそろえるか軽く開いて座ります。
- 03.視線は中央にいる面接官の顔に向け、「質問を聞くとき」と「質問に答えるとき」以外は面接官の口元あたりを見るようにしましょう。
質疑応答
- 01.質問に対しては、はっきりと大きな声で元気に答えましょう。
ハキハキと話すだけでも好印象をもってもらえます。
- 02.質問に対しては「はい。~です」「はい。~と思います」のように、まず「はい。」と答え、内容は単語ではなく文になるように答えましょう。
(例)「中学校での部活は何でしたか?」
×「野球部。」 ○「はい。野球部でした。」
緊張するとどうしても早口になりやすいので、ゆっくり話すことを心がけましょう。
- 03.「はい」「いいえ」をはっきり言いましょう。首を振るなど動きだけで伝えてはいけません。
- 04. 質問の意味が分からなかったときは「すみません、もう一度お願いします」と聞き直して大丈夫です。質問の意味が分からず黙ったままだと逆に印象が悪くなります。
- 05. 間違えたときは「間違えました」とはっきり言ってから、正しい答えを言いましょう。
- 06. 質問に答えるときは「質問をした面接官の目」を見て答えましょう。
退室
- 01. 面接官から「終わりです」「けっこうです」など終わりの言葉を言われたら、「ありがとうございました」と言って、いすの左側に立って一例します。
- 02. ドアのところまで歩き、もう一度面接官の方に向いて一礼してからドアを開けます。
部屋を出てドアを閉めるときも、面接官の方を向き「失礼します」と言って、軽く会釈をしてから閉めます。
- 03. 退室しても気がゆるんで大声を出したりしないようにしましょう。
校門を出るまでは面接が続いていると心得ましょう。
面接時のよくある質問と返答例
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Q.01受験番号と名前、出身中学校を言ってください。
- この質問への返答例
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良い例
はい。受験番号234番の九州太郎です。出身中学校は福岡博多中学校です。
悪い例
234番。九州です。福中出身です。
ポイント
⇒ 面接の質問には「234番」のように単語では答えないこと。
「~です」をつけて必ず文で答えましょう。
また、名前はフルネームで答え、出身中学校は略さずに正しい学校名で答えるようにしましょう。
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Q.02本校を志望した理由を教えてください
- この質問への返答例
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良い例
はい。私は高校で英語を深く学びたいと思っていますので、英語教育に力を入れている貴校を志望しました。
悪い例
① 学校や塾の先生から勧められたからです
② 特に理由はありませんが、家から近いので何となくです。
ポイント
志望動機は具体的に答えるようにしましょう。身近に在校生や卒業生がいる場合は、校風などを聞いておくのもおすすめ。悪い例の場合だと主体性がない印象を与えてしまうので「自分の意志で志望した」ことが伝わるようにしましょう。
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Q.03本校に入学したら何をしたいですか
- この質問への返答例
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良い例
① 私は海外に興味があり、将来は英語を使った仕事がしたいと考えているので、高校の3年間は英語力をつけることを頑張りたいです。
② はい。中学校でもやっていたテニスを高校でも続け、大会で入賞できるようになりたいです。
悪い例
特にありません。
ポイント
この質問で面接官は「この生徒は高校生活でそのくらい頑張れるのか」を見極めようとしているので、「特にありません」などの消極的な回答はしないようにしましょう。
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Q.04中学校で頑張ったことは何ですか。
- この質問への返答例
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良い例
はい。部活と勉強の両立を頑張りました。野球部の練習が休みの日にまとめて勉強する時間を作り授業の復習を行うようにしました。忙しい中でも工夫次第で時間が確保できることを学べました」
ポイント
頑張ったことを「具体的に」答えるようにしましょう。また、結果だけではなく、その努力の過程で何を学んだのかも話せればより印象が良くなります。
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Q.05高校卒業後の進路について考えていますか
- この質問への返答例
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良い例
はい。4年制の外語大学へ進学したいと考えています。私は外国の文化に関心があり、将来は英語を使った国際的な仕事がしたいと考えているので、英語を深く学べる大学への進学を希望しています。
ポイント
まず、「就職したいのか」「進学したいのか」をはっきり伝えましょう。
普通科や進学コースを受験する生徒は、必ず大学に進学したいという意思を伝えるようにしましょう。また、大学で何を勉強したいのか自分の将来の夢と照らし合わせて、「具体的に」伝えるようにしましょう。
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Q.06将来は、どんな職業につきたいと思いますか。
- この質問への返答例
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良い例
① はい。商社に勤めて、世界中を飛び回るビジネスマンになるのが夢です。
② はい。公務員になって、県庁や市役所で働きたいと思います。
③ はい。幼稚園の先生になりたいと思っています。
ポイント
内容は一人ひとり違うので、自分の夢を正直に答えましょう。
ただし、ごく一部の人しか知らないような職業を答えたり、実現不可能と思われる大きすぎる夢(アメリカの大統領など)を述べるのは好ましくありません。
Q5の返答と内容が食い違わないように返答しましょう。
医学部に進学したいと答えたにもかかわらず、将来は建築士になりたいなどと答えないように注意しましょう。
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Q.07あなたの得意科目、苦手科目とその理由を教えてください
- この質問への返答例
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良い例
はい。私の得意科目は英語です。テレビ番組でレポーターの方が海外の方と通訳なしで拘留されているのを見て英語に興味を持ち、好きになりました。英語が好きになったのが得意科目になったきっかけです。
また、苦手な科目は数学です。
確率の計算がわからなくて苦手意識をもってしまいました。
苦手だと思うと勉強するのがあと回しになりがちで、よけいにわからなくなったのだと思います。
ポイント
得意科目、不得意科目は中学校での成績をふまえて答えましょう。
面接官はあなたの中学校での通知票の結果を見ながら面接をしています。
通知表の評定が低い科目を「得意な科目」としないように注意しましょう。
不得意科目はだれにでもあるので正直に答えましょう。
ただし、不得意の原因は自分の勉強方法にあると答えるようにしましょう
くれぐれも先生の教え方や先生が嫌いだったなどの原因を返答してはいけません。
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Q.08あなた自身の長所と短所を言ってください。
- この質問への返答例
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良い例
はい。わたしの長所はあきらめず粘り強いことです。
一度決断したことは途中で投げ出すことなく最後までやりとげる性格だと思います。
短所が頑固なことですなかなか自分の意見を変えられない部分がありますが、
先生や友達の意見を受け入れられる柔軟性を高校生活では身に付けていきたいです。
ポイント
短所はだれにでもあるので正直に答えましょう。
さらに、短所を答えた後はそれを改善しようとしていることも合わせて伝えるようにしましょう。
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Q.09中学校での部活動について教えてください。
- この質問への返答例
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良い例
はい。野球部に入っていました。部員は約40名で練習も大変でしたが、3年間やめずに続けました。3年生の夏の大会では県大会で3位になりました。
ポイント
クラブ名、部員数、活動内容、成果を「具体的に」答えましょう。
すぐれた成果をもっている人(地区大会で3位、県大会でベスト4など)はその通り伝えましょう。成績がふるわなかった場合でも、成績以外でアピールできることを考えておきましょう。
(例)
・レギュラーにはなれませんでしたが、3年間部活動を休まずに続けました。
・3年生のときはキャプテンを任され、40名の部員をまとめていました。
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Q.10最近の気になるニュースを教えてください
- この質問への返答例
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良い例
はい。わたしは○○についてのニュースが気になっています。
ポイント
日ごろからニュースや新聞を見て、気になるニュースについて調べておき、なぜ気になっているのかを考えておきましょう。
ただし、なぜ気になっているのかを聞かれなければ、「○○のニュースについて気になっています」とだけ答えるようにしましょう。詳しく説明を始めると、さらに深く聞かれたときに答えられなくなってしまいます。
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Q.11本校の良いところはどこだと思いますか。
- この質問への返答例
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良い例
はい。進学校でありながら堅い感じがなく、一人ひとりが自主的に学ぶという雰囲気がとても良いと思います。
ポイント
学校案内やパンフレットを読んだり、学校説明会で感じた「良い印象」を答えましょう。
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Q.12本校の校訓を知っていますか。
- この質問への返答例
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良い例
はい。「自主・自立」です。
ポイント
受験する学校の校訓は学校案内やホームページで事前に調べて、必ず暗記しましょう。
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Q.13あなたはどんな趣味をもっていますか
- この質問への返答例
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良い例
はい。私の趣味は読書です。様々なジャンルを読むのですが中でも小説を読むのが好きで、年間で100冊ほど読んでいます。
ポイント
これらの答えには内容についてさらに詳しい質問がされる可能性が高いです。
返答例のように、読書なら「どんなジャンルの本」を読んでいるのかなど、「具体的に」答えられるようにしましょう。
例えば、「最近読んだ本のなかで印象に残っている本について説明してください」などと質問をされることもあるので、事前に「印象に残った本の題名」、「作者名」、「簡単なあらすじ」、「感想」などを準備いた方がいいでしょう。音楽鑑賞や映画鑑賞も同様です。一方で「ゲーム」「携帯」などはあまりいいイメージを持たれないことがあるので答えとしては避けた方が無難です。
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Q.14何か特技がありますか。
- この質問への返答例
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良い例
① はい。昨年、英語検定試験の準2級に合格しました。
② はい。6歳のときから書道を習っており、現在初段です。
ポイント
特技と聞かれたら「級」や「段」のあるものが良いです。
なければ自分が得意だと思うことを答えましょう。
(例)料理をつくることが得意で、週末はわたしが家族の夕食をつくっています。
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Q.15あなたが尊敬する人とその理由を答えてください
- この質問への返答例
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良い例
はい。両親(父, 母)です。父は仕事で帰りが遅いことも多いのですが、休みの日にはわたしに勉強を教えてくたり、家族のことをとても大切にしてくれます。
また母は、仕事から帰ってきても家事など家庭のこともきっちりこなしています。また忙しい中でもわたしの悩み事を聞いてくれ、適切なアドバイスをくれるからです。
ポイント
面接で「尊敬する人は?」と聞かれたら「両親(父、母)です」と答えるのが一般的です。
「坂本龍馬です」など、歴史上の人物をあげるのは、さらに詳しく聞かれる可能性が高いので避けましょう。
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Q.16自己PRをしてください。
- この質問への返答例
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良い例
はい。私は、中学校で吹奏楽部に所属し、部長を務めてました。コンクールへの出場だけでなく、地域の方にも楽しんでもらえるように、地域の施設での定期演奏を提案し、調整を重ねながら実現させることができました。『自主性』を重んじる貴校であれば私の得意とすることを発揮できると考え、志望しました」
ポイント
自己PRでは恥ずかしがらずに「自分はこんなに素晴らしい人間だ」ということをアピールしましょう。「~が苦手です」など、ネガティブな内容を答えるのは避けましょう。
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Q.17中学校の担任の先生の名前を教えてください。
- この質問への返答例
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良い例
はい。担任の先生は博多一郎先生です。
ポイント
担任の先生の名前は名字だけでなく必ずフルネームで答えられるようにしておきましょう。
集団討論の形式、テーマの例
学校によっては集団討論形式の面接が行われるところもあります。
集団討論は数人の受験者のグループに対して、複数の試験官がついて行われるのがオーソドックスで受験者は与えられたテーマに関して討論を行います。
討論方法は学校ごとに様々で、試験官が進行する場合もあれば、立候補または指名で受験者に進行を任される場合もあります。下記に実際に討論されたテーマの一部を掲載します。
- 集団討論の形式、テーマの例
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- 「人生の可能性を広げるために、どのような高校生活を送るか?」
- 「学校に音楽プレイヤーや漫画を持ち込むことについて」
- 「地球温暖化への対策」
- 「みんなが協力するためにはどうすればいいか?」
- 「自動化されると良いと思うものは。」
- 「本校を卒業後、どのように社会貢献していくか?」
- 「集団の力を高めるために求められることは何か。」
- 「リーダーに必要なもの」
- 「問題を抱えるクラスを合唱コンクールで成功させる方法」
- 「文化祭でどのような店をだすか?(種類、店名、内装、役割分担)」
- 「高校生が本を読むようにするにはどうすればよいか?」
- 「中学校で新しい教科を1つつくるとしたら。」
- 「優先席は必要か?」
- 「将来、社会貢献するために高校生には何が必要か?」
- 「部活と勉強を両立するためにどのような工夫が必要か?」
- 「集団の力を高めるために求められることは何か」
- 「高校生活を充実したものにするためには?」
ポイント
集団討論ではコミュニケーション能力や判断力、積極性など様々な観点から評価されますが、必ず「わたしは~と思います」のように自分の意思、考えを一番最初に話すようにしましょう。
- (例)テーマ 『人生の可能性を広げるために、どのような高校生活を送るか?』
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「わたしは高校生活において勉強と友人の2つのことを意識したいと思います。
勉強については、毎日の勉強を頑張ることで定期テストの点数を上げることはもちろん、大学へ進学することによって就職の選択肢が広がると考えています。
また友人に関しては、多くの友人を作ることによって社会に出た時にコミュニケーションの幅が広がるのではないかと思います。」