「成績」と「イジメ」には関係はあるのでしょうか?30数年間、塾講師や家庭教師をしてきて、私は相関関係があると思います。現に、イジメの相談をしてきた生徒に、がんばって成績上げれば、いじめられなくなるよとアドバイスしてきました。そしてなかには、下位だった生徒がトップクラスになり、みんなに驚かれたこともあります。もちろん、イジメはなくなりました。
なぜか?小学校低学年までは、いわゆる腕力のある子、運動ができる子などが幅をきかせたりします。が、小学校高学年くらいから、力関係が変わってきます。そして、中学生になると、勉強ができる子、つまり成績ががぜん注目されるようになるのです。これは私自身の体験として、ぜひ知っていただきたいと思います。なぜなら、中学入学前のお子さんをお持ちのご父兄からの相談は主にこの2つ、「勉強についていけるだろうか」(できればいい成績をとってほしい)「いじめられはしないか」(親にあまり話さないからわからない)ということだからです。そして、端的に言えば、この学力とイジメは、おおいに関係があるのです。
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イジメられた小学校時代
私の父は銀行員で、しょっちゅう転勤がありました。したがって、娘の私も転校を余儀なくされます。4つの小学校に通いました。当然、親しい友だちもできる間もなく、学校によっては学習の進度や順序が違ったりして、勉強もあまりできませんでした。環境にもすぐには慣れず、いつもおどおどした子どもだったと思います。体格も痩せっぽちで運動神経も悪く、無口な転校生です。からかうのには格好の対象だったことでしょう。からかいからイジメに変わるのに時間はかかりません。持ち物がなくなったり、仲間に入れてもらえず、勇気を出して話しかけても無視されるばかりでした。つらかったけれど、恥ずかしいと思い、両親にも言えませんでした。孤独な子ども時代の私を支えたのは、図書室で借りたボロボロの江戸川乱歩やシャーロックホームズなどの推理小説でした。六年生になり、その町の公立中学に入学しました。むろん、同じ小学校の生徒が多く、またいじめられるのかと憂鬱な気持ちで重いカバンを持って中学にかよい始めました。
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「英語」が私を救った!
しかし、そこで待っていたのは、私にとって初めての外国語、英語だったのです。みんながとまどっている中で、なぜか私は英語に強く惹かれました。それは、いじめられた小学校時代にはなかった科目だったからかもしれません。英語の先生が教科書を読む姿がとても素敵に見えたのです。私もあんなふうに英語を話したい。ただそれだけでした。家に帰ると、毎日、大きな声で何度も何度も教科書を読みました。今考えると、のちのアメリカ人英会話講師に言われた、Repetition is important.(繰り返しが重要)だったのです。そんな私を見て両親は「よく勉強してるね」と、聞こえるようにほめてくれました。ますますやる気が出てきます。次は、単語を一行ずつ書きました。それから教科書の文を書きます。何度も読んでいるので簡単です。私は最初のテストで100点を取りました。以後、90点以下はありません。もちろん、授業中当てられてもスラスラと答えます。するとどうでしょう。 「英語できるね。ほかのもできるんでしょう?」と、言われるようになりました。私は内心あせりました。そうか、英語ができたんだから、他の科目も同じようにがんばってみよう。読んだり書いたりすればできるはず。当時の担任の先生が、中間期末テストの前に、サブノートを作るといいとおっしゃいました。要は、自分が覚えやすいように、教科書の要点をまとめたものです。それを試験1週間前から必死で覚えました。やがて、私は学年でトップクラスにはいるようになりました。もう誰も私をからかったり、いじめたりする子はいません。三学期にはクラス委員に選ばれるほどになりました。
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なぜ成績優秀だといじめられないのか?
これが私の体験談です。一言で言うなら、いじめる側の子たちは家庭環境や学力などのコンプレックスがあり、自分たちより下の子を見つけようとするのではないか。そうして、自分自身を保とうとしているのではないか。ですから、イジメの対象にならないためには、なんらかの自信をもつ必要があります。
おどおどしていてはイジメられます。私がいじめられなくなったのは、英語ができるようになり、自信ができたからです。では、自信をつけるにはどうすればいいのか。努力しかありません。ローマ字読みで単語を覚え、何度も書き、覚えました。英語が結果的には他の科目を引っ張り、成績アップにつながりました。でも、必ず結果が出るとは限りません。第一志望の大学に不合格のときもあります。でも、あれだけつらい受験勉強をがんばれたんだから、この仕事もできるはず。社会人になってからもそう思いました。結果が大事、とよく聞きますが、私は結果よりプロセスだと思います。過程でいかに自分が努力したか、が大切なのではないでしょうか。それが自信になります。私も子どもたちの未来のために、これからも努力しようと思います。