中1理科「水溶液」をマスターして、子どもの理科離れを食い止める!

みなさん、こんにちは!
中学1年生で理科へ苦手意識をもつ生徒が増え始めるそうです。そのきっかけになりやすいのが「水溶液」の単元。今回は中学生での理科離れを防ぐためにも、「水溶液」の基礎から一緒に勉強していきましょう!

水溶液とは

「水溶液」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?実は私たちの身の回りにたくさんの水溶液があります。例えば、砂糖水や海水なども水溶液の一種です。

水溶液の定義

水溶液と呼ばれる液体にはある決まりがあります。例えば砂糖水は水溶液と言えますが、牛乳は水溶液とは言えません。では、その違いは何でしょうか?

水溶液の定義は、「水に物質が溶けて、均一に混ざり合っている液体」です。つまり、見た目が透明で、中に溶けている物質が目に見えない状態になっているものを水溶液と呼びます。
砂糖水の場合、砂糖が水に完全に溶けて均一に混ざり合っているため、水溶液と言えます。一方、牛乳は水分を含んでいますが、脂肪分や蛋白質が小さな粒子となって水の中に浮かんでいる状態(乳濁液)なので、水溶液とは言えません。

コップの中の牛乳

溶媒と溶質と溶液

水溶液を理解するには、「溶媒」「溶質」「溶液」という3つの言葉を覚えることが大切です。

  • 溶質:砂糖のように液体に溶けている物質を溶質と言います。
  • 溶媒:水のように溶質を溶かす液体を溶媒と言います。
  • 溶液:溶質が溶媒に溶けたものを一般に溶液といいます。特に溶媒が水のときは、水溶液といいます。

例えば、砂糖水の場合「溶媒」「溶質」「溶液」は下記のようになります。

  • 溶質:砂糖
  • 溶媒:水
  • 溶液:砂糖水(水溶液)

また、炭酸や空気のように2つ以上の物がまじりあったものは混合物、逆に1つの物質だけで混ざりあっていないものを純物質と言います。水溶液は混合物の一種ですが、均一に混ざり合っているという特徴があります。

関連記事:中学理科の得点アップ術!電流と電圧の基礎から応用、オームの法則まで完全解説!

濃度

水溶液とその中に溶けている砂糖の図

水溶液を学ぶ上で重要な概念が「濃度」です。濃度とは、水溶液の中にどれくらいの量の溶質が溶けているかを表す指標です。

濃度の表し方

濃度の表し方には主に2つあります。

  • 質量パーセント濃度:水溶液100gあたりに溶けている溶質の質量(g)
  • 質量モル濃度:水溶液1Lあたりに溶けている溶質のモル数(mol)※こちらは高校の化学で詳しく習います。

ここでは、中学1年生で学ぶ質量パーセント濃度について詳しく見ていきましょう。

水溶液の濃度から量を求める

質量パーセント濃度は次の式で表されます。

濃度(%) = (溶質の質量 ÷ 水溶液の質量) × 100

例えば、5%の食塩水100gには、食塩が5g含まれていることになります。
この知識を使って、水溶液の濃度から溶質の量を求めることができます。

例題:10%の砂糖水500gには、砂糖が何g含まれていますか?

解答:濃度(%)= (溶質の質量 ÷ 水溶液の質量) × 100 という式を使います。
10 = (溶質の質量 ÷ 500) × 100
溶質の質量 = 10 × 500 ÷ 100 = 50g

したがって、10%の砂糖水500gには、砂糖が50g含まれています。

関連記事:みんなの苦手「圧力・浮力」をマスターして、中学1年生での理科離れを防ごう!

溶質の量から濃度を求める

逆に、溶質の量と水溶液の量がわかっている場合、濃度を求めることもできます。

例題:砂糖30gを水270gに溶かしました。この砂糖水の濃度は何%ですか?

解答:まず、水溶液の全体量を計算します:30g + 270g = 300g
濃度(%) = (溶質の質量 ÷ 水溶液の質量) × 100 という式を使います。
濃度 = (30 ÷ 300) × 100 = 10%

したがって、この砂糖水の濃度は10%です。

関連記事:理科の時間が待ち遠しくなる!科学の「原子」と「分子」について徹底解説!

飽和水溶液とは?

これ以上溶けない水溶液

水溶液について学ぶ際、「飽和水溶液」という言葉も重要です。飽和水溶液とは、ある温度において、これ以上溶質を溶かすことができない状態の水溶液のことを指します。
例えば、20℃の水100gに溶ける砂糖の量は約200gです。つまり、20℃の水100gに200gの砂糖を溶かした水溶液が、砂糖の飽和水溶液となります。これ以上砂糖を加えても溶けずに底に沈んでしまいます。
飽和水溶液の濃度は物質によって異なり、また温度によっても変化します。一般的に、温度が高くなるほど溶ける量(溶解度)が増えます。

この性質を利用した身近なものとして、ホットケーキシロップがあります。熱いお湯にたくさんの砂糖を溶かし、それを冷やすと、過飽和状態になり、とてもトロッとした濃いシロップができあがります。

関連記事:理科の正しい勉強方法とは?小学生・中学生別のおすすめ勉強法で成績アップ!

練習問題

水溶液の問題に取り組む中学生

ここまでの内容を理解できたか、いくつかの練習問題に挑戦してみましょう。

穴埋め問題

  • 水に物質が溶けて、均一に混ざり合っている液体を(  )という。
  • 液体に溶けている物質を(  )、それを溶かす液体を(  )という。
  • ある温度において、これ以上溶質を溶かすことができない状態の水溶液を(  )という。

計算問題

  • 12%の食塩水400gには、食塩が何g含まれていますか?
  • 砂糖60gを水240gに溶かしました。この砂糖水の濃度は何%ですか?
  • 20%の砂糖水を作りたいです。水200gに対して、砂糖は何g必要ですか?

(解答は後ほど)

関連記事:最初の4分だけやればOK!「ズーニンの法則」ならやる気は後からついてくる!

中1理科「水溶液」まとめ

水溶液の実験を行う女子生徒

水溶液の学習は、日常生活や様々な科学現象を理解する上で非常に重要です。ここでは主要なポイントを振り返ってみましょう:

  • 水溶液とは、水に物質が溶けて均一に混ざり合った液体です。
  • 溶質(溶けている物質)、溶媒(溶かす液体)、溶液(できた液体)の3つの用語を理解することが大切です。
  • 濃度は水溶液中の溶質の量を表す指標で、質量パーセント濃度などで表されます。
  • 飽和水溶液は、ある温度でこれ以上溶質を溶かすことができない状態の水溶液です。

水溶液の概念を理解すると、テストや入試はもちろんですが、調理や環境問題、さらには化学や生物学の高度な内容を学ぶ際にも役立ちます。例えば、なぜ海水魚と淡水魚が住む環境が異なるのか、or 地球温暖化による海水の酸性化がどのように起こるのかなど、水溶液の知識を応用して考えることができます。

理科は私たちの身の回りの現象を科学的に理解するための重要な科目です。「水溶液」の単元は少し難しく感じるかもしれませんが、日常生活との関連を意識しながら学ぶことで、より興味深く、理解しやすくなるはずです。

最後に、練習問題の解答を確認しましょう。

関連記事:数学のケアレスミスをなくすには?原因と対策をプロが解説

練習問題の解答

穴埋めの解答

水溶液 2. 溶質、溶媒 3. 飽和水溶液

計算問題の解答

48g 2. 20% 3. 50g

これらの問題が解けたでしょうか?もし難しかった部分があれば、もう一度該当する箇所を読み返してみてください。理科の学習は、一度で完璧に理解することよりも、繰り返し学習することで徐々に理解を深めていくことが大切です。
水溶液の学習を通じて、身の回りの現象をより科学的に見る目が養われることを願っています。理科の面白さを発見し、科学への興味を深めていってください!