学生の皆さんが直面する数多くの苦手科目の中でも、国語の現代文、とりわけ評論文の読解が特に難しいと思う人も少なくないのではないでしょうか。評論文は文章の構成や論理展開が複雑なものも多いため、苦手意識を持つ学生も少なくありません。
よく評論文はセンス次第と言われてしまうのですが、実はきちんと点数を上げるための「外してはいけないポイント」があるのです。
多くの受験生や学生が評論文を苦手としていますが、実は適切な勉強法によって、誰でも評論文の読解力と解答力を向上させることができます。今回は、評論文を効果的に解くためのテクニックと、その背景にある考え方を詳しく解説していきます。
暗記では対応できない「評論文」
評論文はあるテーマについて筆者の考えを読者に伝えるための文章です。そのため、古文や漢文のように暗記で点数アップを狙えるものではありません。
評論文の特徴は、その多様性と時事性にあります。扱われるテーマは社会問題から科学、文化、哲学に至るまで幅広く、また常に新しい話題が取り上げられる可能性があります。このため、特定の内容を暗記しても、それが次の試験で役立つ保証はありません。
さらに、評論文の本質は筆者の考えや主張を理解し、それに対して自分なりの解釈や批評を加えることにあります。これは単なる暗記では達成できず、むしろ柔軟な思考力と文章の構造を把握する能力が求められます。
したがって、評論文の学習においては、文章の読解力を高め、論理的思考を養うことが重要です。これはすぐには身につきませんが、適切な方法で継続的に取り組むことで、確実に向上させることができます。
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評論文を解くポイント
設問を確認する
評論文の文章を読む前に、どのような事を訊かれているかを知るためにもまず設問を見ます。そうすることで「文章の何に気をつけて読めばいいか」が明確になり、文章を読むポイントが明確になります。
この段階で重要なのは、設問を丁寧に読み解くことです。多くの場合、設問には以下のような情報が含まれています。
- 解答すべき内容(筆者の主張、文章の構造、特定の語句の意味など)
- 解答の形式(選択式、記述式、穴埋めなど)
- 字数制限
これらの情報を事前に把握することで、文章を読む際の焦点が絞られ、効率的な読解が可能になります。例えば、「筆者の主張を100字以内で要約せよ」という問題であれば、文章全体の流れを追いながらも、特に結論部分に注目して読むことができます。
また、設問を先に確認することで、時間配分の計画も立てやすくなります。文章の長さと設問の数を考慮し、読解と解答にどれくらいの時間を割くべきかを事前に決めておくことで、試験全体を通してバランスの良い解答ができるようになります。
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文章の構造を意識する
一見難解に見える文章や、文字数が多く尻込みしてしまいそうな文章も文章の構造を掴んでおくとグンと読みやすくなります。
どんな文章も概ね次の3つから成り立っています。
- 「テーマ」・・・何について書かれた文章か(文章の主題)。
- 「主張」・・・「テーマ」について、筆者の意見・主張。
- 「論展開」・・・「主張」を言うための、理由や根拠。
の3点を意識して評論を読み、該当箇所に線を引くなどのマーキングをして、文章の内容を読み取るように練習することをおススメします。
具体的にこの3点をとらえるための手がかりは以下の通りです。
「テーマ」の見つけ方
- 文章冒頭の質問や問題提起に注目する
- 何度も繰り返し出てくる言葉や概念を探す
- 「」や””で囲まれた、筆者が特別な意味を込めて使っている言葉を見つける
例えば、「現代社会における「幸福」とは何か」という文章であれば、「幸福」がテーマの中心になっていることがわかります。
「主張」の見つけ方
- 文章の最後の段落に注目する(多くの場合、ここに主張がまとまっています)
- 以下のような表現を探す:
- 「〜だ。」「〜である。」(断定的な表現)
- 「〜してみよう。」「〜してはどうだろう。」(提案的な表現)
- 「〜すべきだ。」「〜しなければならない。」(当為的な表現)
例:「したがって、現代社会における真の幸福とは、物質的な豊かさだけでなく、精神的な充足を伴うものでなければならない。」
「論展開」の見つけ方
論展開の代表的なものは「繰り返し・言い換え」「具体例の提示」「対比による説明」です。これらの手法を見つけたら、筆者がどのような主張を展開しようとしているのか、その意図を考えながら読むことが大切です。
以上のポイントを大切にすれば、文章内容をしっかりとらえられるようになるはずです。
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語彙力をふやす
評論文を読解する上で、豊富な語彙力は非常に重要です。専門的な用語や抽象的な概念を理解できないと、文章全体の意味を把握することが困難になります。以下に語彙力を増やすための効果的な方法をいくつか紹介します。
日常的な読書習慣をつける
新聞、雑誌、小説など、様々なジャンルの文章に触れるようにしましょう。
読んでいて分からない言葉があれば、その場で辞書で調べる習慣をつけましょう。
同義語・反義語も合わせて覚える
新しい言葉を覚える際、その言葉の同義語や反義語も一緒に学ぶようにしましょう。
例:「勤勉」を学んだら、同義語の「努力家」や反義語の「怠惰」も一緒に覚える
文脈から意味を推測する練習をする
今までに述べたことを行ったとしても、試験の際に知らない言葉が出てくることも考えられます。
分からない言葉があっても、すぐに辞書を引かず、前後の文脈から意味を推測してみることも大切です。
その後、辞書で確認し、推測が合っていたかどうかを検証するようにしましょう。
語彙力を増やすことは、評論文の読解力向上だけでなく、自分の考えをより正確に表現する力にもつながります。日々の学習の中で、意識的に語彙を増やす努力を続けることが大切です。
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キーワードから文章を理解する
評論文を効率的に理解するには、文章中の重要なキーワードや表現に注目することが有効です。以下に、特に注意を払うべき要素とその意味を詳しく説明します。
指示語
「これ」「それ」「この」「その」などの言葉
これらの指示語が何を指しているのかを正確に把握することで、文章の流れが理解しやすくなります
例:「これらの事例から分かるように」→ 前段落で挙げられた具体例を指している
逆接を表す言葉
「しかし」「だが」「一方」「それにもかかわらず」など
逆説は文章の流れが変わる重要なポイントを示しています。
例:「技術の進歩は私たちの生活を便利にした。しかし、同時に新たな問題も生み出している。」
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結論を導く表現
「つまり」「したがって」「要するに」「このように」など
これらの言葉の後に、筆者の主張や結論が述べられることが多い
例:「つまり、環境保護と経済発展は、対立するものではなく、両立可能なのである。」
補足や例示を示す表現
「たとえば」「具体的には」「換言すれば」など
抽象的な概念を具体的に説明する部分を示している
例:「持続可能な開発とは、具体的には、再生可能エネルギーの利用や資源の循環利用などを指す。」
強調を表す表現
「特に」「とりわけ」「何よりも」など
筆者が特に重要だと考えている点を示している
例:「この問題において、特に重要なのは長期的な視点を持つことである。」
これらのキーワードや表現に注目しながら文章を読むことで、筆者の主張や文章の構造をより正確に把握することができます。また、これらの表現を自分の文章に取り入れることで、より論理的で分かりやすい文章を書くことができるようになります。
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結論は、ほとんどの場合、文章の最後の段落に述べられています。「つまり」「このように」という言葉が出てきたら、注意していると結論を見つけやすくなるでしょう。ただし、中には結論を最初に述べ、その後に詳細な説明や根拠を展開する文章もあります。このような構造を「逆三角形構造」と呼びます。文章全体の構造を把握することで、結論がどこに述べられているかを正確に理解できるようになります。
まとめ
評論文の攻略は、決して「センス」だけの問題ではありません。本稿で紹介した以下のポイントを意識し、継続的に練習することで、誰でも評論文の読解力と解答力を向上させることができます。
- 問題をしっかり確認し、読むべきポイントを明確にする
- 文章の構造(テーマ、主張、論展開)を意識しながら読む
- 語彙力を増やし、難解な表現にも対応できるようにする
- キーワードや重要な表現に注目し、文章の流れを把握する
- 結論の位置を意識し、筆者の主張を正確に理解する
これらのテクニックを身につけ、日々の学習に取り入れることで、評論文に対する苦手意識を克服し、確実に点数を上げることができるはずです。評論文の学習は、単に試験のためだけでなく、批判的思考力や論理的な文章構成力を養うという点で、将来的にも大いに役立ちます。自信を持って取り組んでいきましょう。