「勉強しなさい!」は逆効果!家庭教師が教える本当に子どものやる気を引き出す方法

子供にどうしたら進んで勉強させることができるのか、頭を抱えているお父さん・お母さんもいらっしゃるかと思います。
「勉強しろ!」「勉強しなさい!」・・・この言葉は思わずよく言ってしまう言葉ではないでしょうか。 自発的に勉強してくれるのが一番いいですが、そうもいかないことってよくありますよね。子

実はこの「勉強しなさい」という言葉が、逆に子供の学習意欲を損ねることがあることをご存知でしょうか?今回は教育プロがお子様から勉強のやる気を引き出す効果的な方法を心理学的なアプローチも含めて紹介していきます!

「勉強しろ!」は逆効果?

強制的にやらされていることは、習慣化しない

さて、そんなついつい言ってしまう「勉強しなさい」の言葉ですが、子どもにとってはむしろ逆効果になってる可能性も大きいのです。

遊びの中でポケモンの名前は進化系まで含めて簡単に覚えるのに、勉強となると歴代の徳川家の人物の名前すら満足に出てこない。子供に限らず、興味を持ちづらいことはなかなか覚えにくいものです。

一体なぜでしょうか。「自分で決めたこと」なのか「他者にやらされていること」なのか、その違いは大きいものです。
吉野家のチーフ・マーケティング・オフィサーを務める田中安人氏は「人は強制的にやらされていることは、習慣化しない」と発言されています。

その言葉を裏づけるようなベネッセの調査データを紹介します。

「勉強しなさい!」の実際の効果データ

ベネッセ教育総合研究所が実施した「第4回子育て生活基本調査」では、小学校1年生から中学校3年生の子供を持つ母親約7,500名を対象に以下の調査を行いました。
子供に対して「勉強しなさい」と声をかけることが「よくある、時々ある」と「あまりない、ぜんぜんない」という2つのグループに分けて、子供の家での平均勉強時間を調べたのです。

その結果、小学1年生から中学2年生まではグループ間で勉強時間に大きな差は見られませんでしたが、中学3年生では「勉強しなさい」と言わない家庭の方が約25分も長く勉強していることがわかりました。

まさに「人は強制的にやらされていることは、習慣化しない」という言葉の通りですね。

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心理的リアクタンス

「人は誰かに強制されたことには反発しやすい」この心の動きは心理学的にも「心理的リアクタンス」という言葉で表されています。

私たちは、何かに自分の行動の自由を脅かされたり、実際に自由を奪われたと感じたとき、その自由を回復するように強く動機づけられます。この動機づけられた状態を心理的リアクタンスと言います。心理的リアクタンスが生じやすい典型的な状況は、他の人からある特定の行動をとるように強制されたときや、行動の選択肢が制限されたと感じるときです。「絶対にやるべき」あるいは「絶対にやるべきではない」などの強制的な表現を使われと、むやみに腹が立ったり、反発したい気持ちになるのはこのためです。

出典:心理的リアクタンス | 意思決定・信念に関する認知バイアス | 錯思コレクション100

子どもにとって嫌なことを強制してしまうことで逆に「勉強=嫌なもの」としてますます勉強嫌いが加速してしまうことも考えられます・

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子どもに勉強のやる気を出させる方法

ではお子さんから勉強へのやる気を引き出していくにはどうすればいいのでしょうか?

方法1. 子供に選択肢を与える

その一つの方法は「子供に選択肢を上手く与えていくこと」です。
例えば「夏休みの宿題って、何があるの?」と聞いてみます。よほどのことでもない限り、これくらいは子供は答えてくれます。

子供「算数ドリルがあるよ」
あなた「朝と夜、どっちなら宿題がやりやすい?」
子供「朝!」

このようにして、選択肢を子供に与え、主体的に選ばせていくのです。

自己決定と習慣化

これは心理学で自己決定と言われる概念になります。自己決定理論に基づくと、人は自分自身の意志や価値観に基づいて行動を選択し、自分で決めたことにはより積極的に取り組みます。この自己決定的な行動は、外部からの圧力や強制(「勉強しなさい」)ではなく、内部からの動機づけによって行われます。例えば、子供が自らの興味や関心に基づいて勉強する場合、それは自己決定的な行動です。
このような自己決定的な行動は、行動の習慣化を促進します。自己決定によって行われる行動は、より持続的で意欲的であり、結果としてその行動が習慣化しやすくなります。そのため、子供に勉強のやる気を引き出すには、選択肢を子供自身に選ばせるように、彼らの興味や関心に合った方法で子供自身に決めさせるような行動を促すことが重要です。

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注意したい声かけ

「今日から毎晩9時に勉強しなさい」
くれぐれもこのように言ってはいけません。 これは子供にとっての強制になり、勉強嫌いは治らないままです。

あなた「そっか、朝ならお母さんも一緒に宿題見ようか? 必要ない?」
子供「わからなかったらお願いするかも。」

一貫して必要なのは「一緒にがんばろう」という姿勢や接し方です。
「勉強しろ!」と言っている親がダラダラテレビを見ている・・・もちろん家ではゆっくりしたい気持ちもわかりますが、子供にしてみれば、その姿を見て「なぜ勉強しなければならないのか」と空しい気持ちにもなるでしょう。 意外と子供の目は鋭いものです。

方法2. 勉強することで夢に近づくことを話す

勉強することが将来にどうつながっているかをお子さんに話し、「なぜ今勉強することが必要なのか」を教えてあげることも有効です。特に小さなお子様にとってはまだ勉強と将来は結びつきづらいでしょう。

先ほど紹介した「第4回子育て生活基本調査」の中には将来の夢や進路の話と勉強時間の関係について、以下のようなデータもありました。
なんと、「子どもと将来や進路について話をする」と回答したお母さんの子供(小学生)の方が、そうでない小学生より約20分も勉強時間が長かったというのです。

親御さん自身の経験も踏まえて、勉強が人生にもたらす可能性について話すのもおすすめです。

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実は大人も楽しめるかもしれない「勉強」

タレント・映画監督の北野武氏はフライデー襲撃事件での謹慎期間中に小学生が解くようなドリルで勉強をしていたそうです。 この時に問題集を解いて面白いと感じたことで誕生した番組が「平成教育委員会」(アラサー・アラフォーの方には懐かしい番組名でしょう!)。

他にも私の身近な例では、家庭教師の講師自身も中学生などの問題内容はもちろん、子供からの思わぬ質問や、考え方の違いを知ることで改めて勉強は面白いと感じた経験があるそうです。

もしかしたら子供の宿題と侮っていても、私たちにとっても刺激的で楽しめる内容であるかもしれません。 そんなときは子供と一緒にゲーム感覚で宿題に取り組んでもいいと思います。
「お父さん・お母さんも楽しそうに勉強をしている」 その姿を見せることこそが、実は子供に勉強のやる気を出させる最善の方法かもしれませんね。

子供の学習意欲を引き出すためには、強制ではなく自己決定の感覚を促すことが重要です。選択肢を与え、勉強の意義や将来の夢との関連性を話し、親自身が楽しんで勉強に取り組む姿を見せることが効果的。親子のコミュニケーションを通じて、子供の勉強に対するイメージを前向きなものにしていきましょう。