なぜプログラミング教育が必修化になるの?その理由と背景を解説!

2020年の教育改革では、小学校でのプログラミング教育が必修になりました。中学校では2021年から、高校では2022年から実施されています。
なぜ今プログラミング教育が必修化になったのでしょうか?日本の教育改革において、プログラミング教育が必修化された背景には、急速に発展するIT産業に対する人材不足の深刻化があります。今回はその理由と背景を紐解き、各段階のプログラミング教育の内容まで明らかにしていきます。

プログラミング教育導入の背景

IT人材のイメージ

IT産業において人材不足が深刻化

経済産業省が発表した、IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果によると、2020年に36.9万人、2030年には78.9万人のIT人材が日本国内で不足すると予測されています。この問題は国内だけでなく、海外でも深刻化されています。

そのため、人材教育を進めることにより、国内だけでなく海外でも活躍の場を持てるようになります。技術力アップは、先端的な技術であるAI(人工知能)や、IoT(モノのインターネット)にも不可欠でもあり、ITのレベルアップは、ますます期待がかかる状況でもあります。

このように、IT産業の人材が枯渇してしまうことで、他の諸外国よりも遅れを取る事態となり、技術進歩だけでなく、産業競争を生き抜くことが出来なくなってしまうことにもなるでしょう。

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プログラミング学習とは?

小学校のプログラミング教育

小学生のプログラミング教育

小学校におけるプログラミング教育では「プログラム思考」を学び事が求められています。

分かりやすく言うとコンピュータを使わずにプログラミングの考え方を学ぶことから始めます。例えば「どういう指示を出せば想定通りの挙動になるのか」などの考え方です。また実際に算数の授業で正多角形を作図したり、理科の授業で電気を点灯させたりすることもあります。

小学生の段階では、プログラミング的思考を育成することが重視されています。つまり、専門的なプログラミング言語よりも、物事を論理的に考える能力を養うことを目的にしています。
また、プログラミングを通じて何度も試行錯誤を繰り返すことで、問題解決能力を育成しています。児童は自らのアイデアを実現するために、命令や手順を工夫しながら学んでいます。

このように、小学校のプログラミング教育は、単なる技術の習得よりも、創造力や論理的思考、実生活で役立つスキルの育成に焦点を当てています。小学校のプログラミング学習について、具体的にそれがどういうものかはこちらの記事(「プログラム学習って何をするの?知っておきたい小学校のプログラミング教育必修化」)でも詳しく説明しています。

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中学校のプログラミング教育

中学生のプログラミング教育

小学校で必修化されたプログラミング教育は、主に「プログラミング的思考力」の育成に焦点を当てていました。
一方、中学校のプログラミング教育は、より実践的な技術の習得を目指しています。生徒たちはコンピュータを使った情報技術やプログラムの基本的な構造、ネットワークを利用した問題解決、さらには計測や制御に関するプログラミングを学びます。

これにより、日常生活や社会での実際の問題に対して技術的な解決策を提案し、実行できる能力を養うことが目的です。生徒は自らが抱える課題をプログラミングを通じて解決し、その過程でプログラミングの重要性と有用性を実感することが期待されています。

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高校のプログラミング教育

高校生のプログラミング教育

高校におけるプログラミング教育は、全生徒が必修で学ぶ科目である「情報Ⅰ」を通じて展開されます。文部科学省の指導要領によれば、「情報Ⅰ」ではプログラミングの他にも、情報セキュリティ、ネットワーク、データベースの基礎知識を学ぶことが明記されています。これにより、生徒たちはコンピューターを利用した問題解決能力や、社会的な課題に対する情報の活用方法を身に付けることを目指します。

これまでの情報科の枠組みでは、「社会と情報」または「情報の科学」の選択によってプログラミングを学ぶ機会が限られていましたが、新たに導入された「情報Ⅰ」は、すべての高校生がプログラミングを含む情報科学の基礎を学びます。この科目では、アルゴリズムやプログラミング手法を実習を通じて学び、コンピューターや情報通信ネットワークの仕組みを深く理解します。

情報Ⅰは必修科目ですが、それとは別に選択科目として情報Ⅱがあります。情報Ⅱでは情報社会の進展と技術の歴史を通じて、情報セキュリティやコミュニケーションの多様化がどのように人々の知的活動に影響するかを理解します。また、適切なコンテンツ制作や情報デザインを通じて、コミュニケーションの目的や状況に応じたスキルを磨きます。さらに、データの分析や科学的なアプローチを通じて、情報とデータサイエンスに関する知識とスキルを深め、問題解決能力を高めます。情報システムの設計とプログラミングを通じて、実際の課題に対する解決策を提案し、新たな価値を創造する手法も学びます。最後に、地域や社会における情報技術の実践的な活用を通じて、情報を活用した問題解決の探究を行います。

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プログラミング教育必修化の理由と背景まとめ

プログラミング教育のイメージ

プログラミング教育の導入は、日本のIT産業における人材不足を解消し、国内外で競争力を高めるための重要な一環となっています。小学校から始まるプログラミング教育は、コンピュータを使わずにものごとを論理的に考える力を育むとともに、中学校や高校では実践的なプログラミング技術を身につけさせることで、生徒たちに問題解決能力を養うことを目指しています。高校の「情報Ⅰ」と「情報Ⅱ」科目を通じて、情報技術の進化や社会的影響を理解し、データ分析や情報システムの設計・プログラミングを通じて現実の課題に対処する能力を高めています。これにより、将来の技術革新と産業競争に対応するための基盤を築くことが期待されています。

プログラミング学習で今までとはまた違う、学ぶことの面白さを感じながら、自分のアイデアや夢を形にする喜びを体験してください。