高校生になると、品詞の名前もしっかりでできて、文法の学習に難しさを感じるようになってきますが、今回はその中でも一見軽視されがちのようで、実際はレベルが上がるにつれてその大切さに気づくようになり、きちんと身に付ける事が手遅れになりがちな『前置詞』を、身に付けてもらうための解説をしましょう!
【こんな生徒におすすめ】
- 前置詞の意味・訳し方がわからない
- 様々ある前置詞の使い分けができない
- 前置詞の使い方がわからない
- 英語が苦手で、特に前置詞はつかみどころがなくて、どう覚えたらいいかわからない
- 前置詞のイメージを身に付けたい
- わかりにくい前置詞の覚え方を知りたい
前置詞とは?
前置詞というのは、その名の通り「前に置く品詞」です。
使い方はシンプル、意味もシンプル、数もかぎられている。では何が難しいと思わせるのか?
それは、前置詞のシンプルさゆえに、それぞれが似たように見え、”使い分けの仕方が見えにくい”部分にあります。
前置詞というのは、訳し方は大差がないので、その独自のイメージによって、区別されています。
つまり、ポイントはただひとつ!『前置詞のそれぞれの持つイメージを知る事』です!
『基本のイメージ』を常に踏まえていると、スイスイと使い分けもできるようになりますし、関連熟語も覚えやすくなります。さらには、最終目的である長文読解で、これらの”前置詞パワー”を用いて、英文の内容をイメージとして日本語に近い理解までが、可能になるのです!
高校英語の前置詞について
英語の前置詞とは、日本語でいう「〜に、で、と」などの助詞にあたるものです。
形 《前置詞 + 名詞》
前置詞単独で使用できない。常にその後に名詞(相当語句)を伴って、ワンセットで使う。このセットのことを、「前置詞句」と言います。
働き 『形容詞句・副詞句』(修飾語)
→つまり、前置詞句は、これ自体では文の主要素にならず、なにかを修飾して付加情報を与える”アクセサリー”のようなもの。
訳し方
前置詞の使い方により様々なので、文脈に合わせて柔軟に訳します。
必須前置詞一覧〜イメージ付き!
イメージと訳し方をセットで、インプットします!
〈覚え方のポイントⅠ〉
前置詞の意味だけではピンとこないため、例文を見ながら、各前置詞のイメージを膨らましていきます。
①「点」のat
「時刻」I usually get up at seven o’clock. (時の一点)
「場所」I met her at the bus stop. (場所の一点)
Look at me! (視点)
They were surprised at the news. (〜を見て・聞いて)
「割合」He is driving at 50 miles an hour. (割合・メーターの点を差す)
②「接触」のon
「〜の上に」There is a vase on the table.
The man is sitting on the chair.
③「中」のin
「中に入っている、中に広がりがあるものの中にいる」I live in Chiba.
④「方向」のto
「〜へ」Turn to the right.
the way to the station
⑤「目的」のfor
「目的地」This bus is bound for the terminal. *be bound for〜(〜行きである)
「〜のために」This is a present for you.
「交換」I bought this book for two thousand yen. *buy A for B(金額) (BでAを買う)
「〜の間」I stayed in France for two weeks. (期間)
「賛成」I voted for him. (私は彼に票を入れた) *vote for〜(〜に投票する)
⇔「反対」のagainst
Many people were against the proposal. (多くの人が、その提案に反対した)
⑥「起点」のfrom
「〜から」
from A (起点) to B(到達点)「AからBへ」
This shop opens from ten to ten. (時の起点)
It takes thirty minutes from the station to the school.(場所の起点)
「原因」I got tired from overwork. *get tired from + 疲労の間接的原因 (〜で疲れる)
⑦「一部」のof
A of B「AはBの一部である」(BのA)
I am a member of the orchestra. (所属・所有)
a glass of water (コップ1杯の水)
*〈a + 容器 + 数えられない物質名詞〉
⑧「並んでる」with
「一緒」 He came along with his friends. (〜と一緒に)
「道具」 Cut this fruit with a knife. (〜を使って)
⇔without「〜無しで」
They went out without me.
⑨「近い」by
「〜のそばに」He is standing by the window.
「手段」Please send me it by email. (〜によって) *名詞は、無冠詞になる
「差」My sister is older than me by three years. (年齢差)
⑩「覆ってる」over ⇔ under「覆われている」
The boy jumped over the fence. (〜を越えて)
under the bridge (〜の下に)
⑪「前」のbefore ⇔ 「後」のafter
She left home before noon. (〜の前に)
She came back after lunchtime. (〜の後に)
⑫「目の前」のin front of⇔「背後」のbehind (場所)
A man in front of me stood up. (〜の前の、に)
The kid hid behind the curtain. (〜の後ろに)
⑬「変化」のinto
The rain turned into snow. *turn/change into〜(〜に変わる)
3. 前置詞使い分け便利集
前置詞の中には、使い分けが難しいものがあるので、とりわけ気をつけたいものをカテゴリーごとに使い分け方をまとめましたので、比較しながらその違いを見ていきましょう!
とは言っても、「2.必須前置詞一覧のイメージ」に基づいているため、基本のイメージを常に念頭に置いておくことが、重要なコツになります。
①《時間のat, on, in》
at『時刻・短い限られた時』(点のat)
at five o’clock
at noon (正午は12:00を指すので、時刻に相当する)
at Christmas
on 『カレンダー上で日付として確認できる時』(接触のon)
on Sunday (曜日)
on February 2 (日付け)
in『期間のある時の表現』(中のin)
in January (月)
in the morning (午前中)
in winter (季節)
in 2025 (年)
②《場所のat, on, in》
at『場所の内部でなく地点として認識する場合』
at school
Let’s meet at the station. (待ち合わせ場所)
on 『ある場所を面と捉えて、そこに乗っかっているイメージの場合』
on the spot (その場で)
on the chair (特に、乗っかる感じのイスの場合)
in『内部・広がりのある場所、中に存在している場合』
in the world (世界で、世界中)
He is relaxed in his chair. (中に入るような感じのイスの場合)
③《行き先のto, for》
『到達点(方向)のtoと目的地(目的)のfor』
I took a train to Tokyo. (電車で、東京まで行った)
I took a train for Tokyo. (東京行きの電車に乗った)
*あくまで電車の行き先が東京までで、東京まで実際に行くことまでは示していない
④《材料のof, from》
『材料のofと原料のfrom』
「〜でできている」
be made of + 材料
(材料を加工していなく質が変わってない、見て素材がわかる)
be made from + 原料
(原料から加工が加わり質が変わっている、見て素材がわからない)
The desk is made of wood.
Cheese is made from milk.
⑤《期間のfor, during》
for 『〜の間(具体的な数字のある期間)』
for three months
during『〜の間、〜中(期間を表す表現)』
during my vacation (休暇中)
⑥《「〜まで」のby, till/until》
『期限のby』「〜までに」
You have to finish the report by this weekend.
(今週末までにレポートを終えなくてはなりません。)
『継続のtill/until』「〜までずっと」
I’ll be there till this weekend. (今週末までそこにいますよ。)
〈覚え方のポイントⅡ〉
前置詞を身に付ける最高の方法は、「熟語」を覚えることです!
前置詞は、結びついて使うため、沢山のよく使われる英熟語がそれぞれにあります。受験期にその重要性に気づき一気に勉強し出す事が多いですが、それも一気に英語力がUPする、理由になっています。なので、英熟語帳の勉強に力を入れることを、強く勧めます。
まとめ
前置詞について、理解は進みましたか?
勉強は、ゼロか百かではないので、定期的な積み重ねが力となります。特に、前置詞は、細かい上に意味が曖昧なところが特徴的なので、神経質になっては逆効果です。
簡単なものから、積み重ねていきましょう。そして、問題などで出てきた際に、その使い方がわからなかったら、確認していく事です。意味・使い分けなどは簡単ではないですが、前置詞自体の綴りは短くて簡単なので、まずはきちんと書けるようにしておくことも大切ですね。
Necessity is the mother of invention.「必要は、発明の母」
英語力向上において、前置詞は必要なものです。これからは、少し前置詞も意識して英文に取り組んでいきましょう。