みんなの苦手「圧力・浮力」をマスターして、中学1年生での理科離れを防ごう!

こんにちは!今回は「嫌いな教科」についてのお話からスタートしたいと思います。

中学生の嫌いな科目ランキングを見ると、

1位:数学 (24.2%)
2位:国語 (16.0%)
3位:英語 (13.5%)
4位:社会 (11.2%)
5位:理科(8.0%)

だというデータがあります(中学生白書「中学生の日常生活・学習に関する調査」より)。

理科が最下位というのは少し意外な感じもしますが、同調査によると、理科は「好きな科目ランキング」でも最下位のようです。
理科を苦手と感じる原因は計算や公式の分野だと思います。今回はその中でも理科嫌いになりやすい「圧力・浮力」に関して解説していきます。

「圧力・浮力」は中学校3年生でも出てくるので、今のうちに基礎をしっかり押さえておきましょう!

圧力とは?

蒸気が噴き出す圧力鍋

圧力とは、ある面積にかかる力のことです。私たちの周りには、空気や水などによってさまざまな圧力がかかっています。圧力の大きさは、単位面積あたりにかかる力で表されます。

圧力の単位は「パスカル(Pa)」です。1パスカルは、1平方メートルの面積に1ニュートンの力がかかる時の圧力を表します。覚え方として、「1Pa = 1N/m²」と覚えておくとよいでしょう。

ちなみに私たちも常に空気の圧力(大気圧)を受けています。標準大気圧は約101,300Pa(1気圧)になります。

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圧力の公式

もう少し圧力を分かりやすく説明すると、圧力の公式は以下のようになります。

圧力(Pa) = 力 (N)÷ 面積(m²)

この公式から、以下の特性がわかります。

圧力の特性

同じ力でも、面積が小さいほど圧力は大きくなります。例えば、鋭いナイフで物を切る時、刃先の面積が小さいほど切りやすいのはこのためです。
また、圧力は面に対して垂直にかかります。

水圧とは?

シャワー

水圧は、水中にある物体にかかる圧力のことです。水圧は、水の重さによって生じます。水の深さが増すほど、上から押し下げる水の量が増えるため、水圧も大きくなります。

水圧の特性

水圧には以下のような特性があります:

  • 深さに比例:水圧は水深に比例して大きくなります。
  • 方向性:水圧は、あらゆる方向からかかります。

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水圧の公式

水圧の計算式は以下のようになります:
水圧 = 水の密度 × 重力加速度 × 水深

ここで、水の密度は約1000 kg/m³、重力加速度は約9.8 m/s²です。これらの値を使うと、水圧の簡易計算式として以下が得られます:
水圧(Pa) ≈ 10000 × 水深(m)

つまり、水深1mごとに約10000Pa(0.1気圧)ずつ水圧が増加します。この知識を使って、潜水艦の耐水圧について考えてみましょう。

潜水艦の耐水圧

「しんかい6500」は水中6500mまで潜れる、世界で2番目に深く潜れる日本の潜水艦です。深海での高い水圧に耐えられるよう設計されています。

水深6500mでの水圧:6500m × 10000Pa/m = 65,000,000Pa = 650気圧

このように実に650気圧という途方もない水圧に耐えられるよう設計されています。

  • 球形の船体:「圧力は面に垂直にかかる」と説明しましたね。しんかいはこの原理を利用しています。船体を球形にすることで圧力を均等に分散させ、集中を避けます。
  • 厚い船壁:水深6500mでは約650気圧の水圧がかかります。この大きな圧力に耐えるため、船壁を厚くしています。

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浮力とは?

浮力は、液体や気体の中に物体が入れられたとき、その物体に働く上向きの力のことです。浮力は、物体の上下にかかる水圧の差によって生じます。

なぜ船は浮くのか?

海に浮かぶ船

船が水に浮くのは、浮力の原理を利用しているからです。船の形状は、大きな体積を持ちながら、重量を軽くするように設計されています。船の底面積が大きいため、水から受ける浮力も大きくなります。

船の重量が、船が押しのけた水の重さ(排水量)よりも小さければ、船は浮きます。逆に、船の重量が排水量を超えると沈んでしまいます。

左右からかかる水圧は同じですが、深さが同じなのですから当然ですね。しかし、上と下では異なります。この上下の水圧の差が浮力として働くのです。

例えば、1000kgの船が水に浮かんでいるとき、この船は1000kgの水を押しのけていることになります。水の密度は約1000 kg/m³なので、この船は約1m³の体積の水を押しのけていることになります(密度 = 質量 ÷ 体積 の式から、体積 = 質量 ÷ 密度 となります。)。

では、次にそれぞれの練習問題に挑戦してみましょう。

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練習問題に挑戦!

1.気圧

問1

問題

以下の気圧に関する文章の空欄を適切な言葉で埋めなさい。

大気圧は、(1) に向かうほど低くなります。これは、上空ほど空気の(2) が薄くなるためです。標高が1,000m上がるごとに気圧は約(3) hPa下がります。一方、天気予報で発表される気圧は(4) に換算した値です。

標高の高い山

 

解答: (1) 上空 (2) 密度 (3) 100 (4) 海面

    解説
    • 上空に行くほど、頭上の空気の量が減少するため、気圧は低くなります。
    • 空気の密度は上空ほど薄くなり、これが気圧低下の主な原因です。
    • 一般的に、1,000mの標高上昇で約100hPaの気圧低下が見られます。
    • 天気予報では場所による違いをなくすため、気圧を海面レベルに換算しています。

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    問2

    問題

    海抜0mの地点での大気圧は約1気圧です。山頂では気圧が0.8気圧でした。この山頂の高度は約何mですか。ただし、100m上昇するごとに気圧は約0.01気圧下がるものとします。

    山の風景

    解答:約2,000m

    解説

    気圧の差を計算します:1気圧 – 0.8気圧 = 0.2気圧
    0.01気圧の低下が100mに相当するので、0.2気圧の低下は0.2 ÷ 0.01 × 100 = 2,000m
    従って、山頂の高度は約2,000mです。

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    問3

    問題

    気圧が私たちの日常生活に与える影響について、以下の質問に答えなさい。

    1. 缶ジュースを高山に持っていくと、どうなる可能性がありますか?
    2. 気圧の変化で頭痛を感じる人がいるのはなぜですか?
    3. 飛行機の機内で水の入ったペットボトルを開けると、どうなりますか?その理由も説明してください。

    登山中の缶ジュース

    解答

    1. 膨らんだり、破裂したりする可能性がある。
    2. 気圧の変化により、体内の気体(特に副鼻腔内)が膨張や収縮し、痛みを感じることがある。
    3. 「シュー」という音とともに中の空気が飛び出す。機内は与圧されているが外より気圧が低いため、地上で密閉された時の圧力との差で起こる。
    解説

    高度が上がると気圧が下がるため、缶内の圧力が相対的に高くなり、膨張や破裂の原因となります。
    人体も気圧の影響を受け、急激な変化は体調不良の原因になることがあります。
    飛行機の機内では、地上より気圧が低く設定されています。この気圧差により、密閉容器内の空気が膨張して飛び出す現象が起こります。

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    2.水圧

    問1

    問題

    水圧に関する以下の記述のうち、正しいものには〇、誤っているものには×をつけなさい。

    a) 水圧は深さに比例して大きくなる。
    b) 水の中では、横向きにも水圧がはたらく。
    c) 水面に近いほど水圧は大きくなる。

    プールに浮かぶ人々

    解答

    a) 〇
    b) 〇
    c) ×

    解説

    a) 正しい。水圧は深さに比例して増加します。
    b) 正しい。水圧はあらゆる方向に等しくはたらきます。
    c) 誤り。水圧は深くなるほど大きくなります。

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    問2

    問題

    水深30mの地点での水圧は何Paですか。ただし、1気圧 = 101,325Paとし、水深10mごとに約1気圧増加するものとします。

    プールに浮かぶ人々

    解答:約303,975Pa

    解説

    水深30mでの気圧を計算:30m ÷ 10m = 3気圧
    3気圧をPaに換算:3 × 101,325Pa = 303,975Pa
    従って、水深30mの地点での水圧は約303,975Paです。

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    浮力

    問1

    問題

    浮力について、以下の質問に答えなさい。

    1. 浮力はどのような向きにはたらきますか?
    2. 浮力の大きさは、物体の何に比例しますか?
    3. 水に浮く物体と沈む物体の違いは何ですか?

    水に浮かぶ流木

    解答

    1. 浮力は鉛直上向きにはたらきます。
    2. 浮力の大きさは、物体が押しのけた液体の体積(排水量)に比例します。
    3. 水に浮く物体は平均密度が水よりも小さく、沈む物体は平均密度が水よりも大きいです。
    解説
    • 浮力は重力に逆らう向きにはたらくため、鉛直上向きになります。
    • 浮力は物体が押しのけた液体の重さに等しくなります。
    • 物体の平均密度が液体の密度よりも小さければ浮き、大きければ沈みます。

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    問2

    問題

    物体が水に浮くか沈むかを判断する方法について、以下の文章の空欄を適切な言葉で埋めなさい。

    物体の(1)__が水の密度より大きければ物体は沈み、(2)__であれば浮きます。物体の密度が水の密度と(3)__ 場合、物体は水中に(4)__の状態で浮かびます。

    解答: (1) 平均密度 (2) 小さい (3) 等しい (4) 静止

    解説
    • 物体が水に浮くか沈むかは、その物体の平均密度と水の密度を比較することで判断できます。
    • 物体の平均密度が水の密度より小さい場合、浮力が重力を上回るため物体は浮きます。
    • 密度が等しい場合、浮力と重力がちょうど釣り合い、物体は水中で静止します。
    • 平均密度を使うのは、物体の内部に空洞があるなど、密度が一様でない場合も考慮するためです。

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    問3

    問題

    質量100g、体積150立方cmのプラスチック製の容器を水に入れたところ、容器は水に浮かびました。以下の問いに答えなさい。

    (1)容器にはたらいている浮力の大きさは何Nですか。
    (2)容器の、水中に沈んでいる部分の体積は何立方cmですか。
    (3)容器の上に何N以上のおもりをのせると、容器は完全に水に沈みますか。

    ただし、質量100gの物体にはたらく重力を1Nとし、水の密度を1g/立方cmとします。

    水に沈むプラスチック

    解答

    (1)1.5N
    (2)100立方cm
    (3)0.5N以上

    解説

    (1)容器にはたらいている浮力の大きさ

    浮力は物体が押しのけた水の重さに等しい
    容器の体積が150立方cmなので、これが押しのける水の最大体積
    浮力 = 水の密度 × 重力加速度 × 容器の体積
    浮力 = 1g/立方cm × 10m/s² × 150立方cm = 1500gf = 1.5N

    (2)水中に沈んでいる部分の体積

    浮いている状態では、浮力と重力が釣り合っている
    容器の重力 = 質量 × 重力加速度 = 100g × 10m/s² = 1000gf = 1N
    1Nの重力と釣り合う浮力を生じる水の体積を求める
    1N = 1g/立方cm × 10m/s² × x立方cm
    x = 100立方cm

    (3)完全に沈むために必要なおもりの重さ

    容器が完全に沈むには、重力が最大浮力より大きくなればよい
    最大浮力 = 1.5N(問1で計算済み)
    現在の重力 = 1N(容器の重さ)
    追加で必要な力 = 1.5N – 1N = 0.5N以上

    したがって、0.5N以上のおもりをのせると、容器は完全に水に沈みます。

    重要なポイント
    • 浮力の大きさは、物体が押しのける液体の重さに等しい(アルキメデスの原理)
    • 浮いている物体では、浮力と重力が釣り合っている
    • 物体が液体に沈む条件は、物体にかかる重力が最大浮力を超えること

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    まとめ

    「圧力・浮力」を理解しよう!

    「圧力・浮力」の単元は、計算や公式の理解が必要なため、多くの生徒が苦手意識を持ちやすい分野です。しかし、これらの概念は私たちの身の回りの多くの現象を説明する重要な基礎となります。

    水圧が深さに比例すること、浮力がアルキメデスの原理に基づいていることを覚えておきましょう。また、日常生活の中で圧力や浮力の例を探してみることで、理論と実践を結びつけることができます。

    計算問題にも慣れておくことが大切です。特に、単位の変換(例:cmからmへの変換)に注意しましょう。

    この単元をマスターすることで、物理現象への興味を深め、理科の楽しさを再発見できるはずです。「圧力・浮力」の理解を通じて、中学1年生での理科離れを防ぎ、科学的思考力を養っていきましょう。

    最後に、この単元は中学3年生でも再び扱われるため、今のうちにしっかりと基礎を固めておくことが大切です!がんばりましょう!