センター試験から大学入学共通テストへ

現在実施されているセンター試験が変わるという情報はご存知でしょうか?

受験を控えている高校生から、中学生まで、必ず知っておくべき内容となっています。
ここではセンター試験から大学入学共通テストへどう変わるのかを詳しく見ていきます。

変化の背景

文部科学省は「学力の三要素」を「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力」、「主体性・多様性・協働性」としています。

グローバル化や多様化によって社会のあり方が目まぐるしく変化していく現代社会に対応する力を身に付けるために、これまでの「知識・技能」偏重の試験から「思考力・判断力・表現力」も強く求められるものに変わります。

いつから変わるのか

現在のセンター試験は2020年度までで廃止され、2021年度から大学入学共通テストが始まります。
また2024年度からは2022年から始まる新学習指導要領の実施に加え、大学入学共通テストの本格実施がスタート。
2019年時点で中学校一年生以下の生徒が本格実施の対象となります。

変化の傾向とは

では、センター試験と大学入学共通テストにはどのような変化があるのでしょうか?
簡単に言えば、【考えさせる力】をより求められるようになり、試験内容としては難化すると言われています。

出題形式

出題形式はこれまでの完全マークシート式から、数学と国語では記述式の問題も出題されます。また、数学では試験時間も現行の60分から10分延長して70分に変更、国語も現行の 80分から20分延長して100分の試験時間に変更されます。
このことからも受験生により考える力を求めていることは明らかです。
マークシート式の問題でもいずれかひとつを選ぶものではなく、「当てはまるものをすべて選ぶ」ものも出題されます。
また、全体的により日常生活や社会と関連の深い内容も取り入れられ、学校の学問だけではなく、日常の事柄にもどれくらい目を向けているかも求められるようになります。

英語

英語の試験も大きく変わります。
まず、リスニングの配点比率が50%になり、筆記(リーディング)と同じくらい「聞き取る力」も求められるようになります。
また、民間資格・検定試験の導入も評価基準として導入が決定しています。

11/1追記:民間資格・検定試験の導入は2024年度に延期されると萩生田光一文部科学相より発表がありました。

プレテストとの比較

平成29年に実施された大学入学共通テストの試行調査(プレテスト)では、現状のセンター試験と比較して、以下のような傾向がみられました。(この傾向がそのまま大学入学共通テストへ反映されるわけではないことにご留意ください。あくまで参考としてご覧ください。)

数学

センター試験と比較して、長い条件文や会話文を読みとく読解力が求められています。また、記述式の問題もあり、そのために時間が足りなくなる傾向があり、文章に慣れておく、時間配分などがより重要になってくると思われます。

国語

法律などの実用的な文章や資料が問題文として取り上げられ、複数の情報から複合的に正解を求めさせる傾向があります。
プレテストでは著作権法が題材に選ばれたこともあり、このあたりは個人的にはネット社会の中で氾濫する情報から正しい情報を判断させる力を身に付ける狙いもあるのかと思います。
日頃からの日常的な事柄にも目を配っておくことも求められます。
またグラフや図表も資料として用いられていることから、文系の学生にもグラフや図表を読み解く力を求められていることがわかります。

英語

英語では「英語でかかれた評価を意見と事実とに区別する力を問う」などコミュニケーション重視の問題文が増加しています。
リーディングでは設問も英語で表記されるようになりました。
またリスニングも実際のコミュニケーションを想定した具体的な場面や目的、状況が設定されるようになります。

理科

数字そのものを選ばせる、より思考力を問う問題、また、知識だけでは解答の難しい原理や法則と知識を関連付けて解答させる問題も出題されています。
より思考力・判断力を求められる傾向があります。

社会

こちらでも設問の長文化、また選択肢の増加等が傾向として挙げられます。
読解力、思考力、判断力が今まで以上に求められるようになります。

大学入学共通テストへ向けた対策

では今からどのようなことに気をつければいいのでしょうか?

日頃から考える癖をつけておく

日ごろのニュースや、教科書で取り扱われる事柄に対して、自分はどう思うのか、自分なりの考えを意識するクセをつけておくことも大切です。

根本から変わるわけではない

センター試験から大学入学共通テストへ変わると言っても、根本から変わるわけではありません。ベースとなる知識をしっかり身につけることの重要性は今後も変わりません。

最後に

どうだったでしょうか。現時点(2019年11月)ではまだ不明な情報も多いのですが、わかり次第随時このサイトでも紹介していきます。

2019.12.17. 追記 記述式問題の導入延期が決定

2019年12月17日、萩生田文科相が大学入学共通テストでの記述式問題の導入を延期すると正式に表明しました。

11月1日に英語の入試科目において民間資格・検定試験の導入が2024年度に延期されたことに続いて、今回の記述式問題の導入延期のよって実質大学入試改革の大きな目玉が失われたことになります。

記述式問題にについては実務の面からも50万人分以上の答案を採点する必要があり、それを一万人で20日間程度で行うために当初からアルバイトの採点ミスやブレへの懸念がありました。また過去に実施されたプレテストでは、記述式問題の解答と受験生の自己採点にずれがあることも判明していました。

学校の現場からも教師から「正確に自己採点できているか分からず、出願先の検討で迷う」「廃止にすべきだ」といった声が聞かれていました。

こうした記述式問題の懸念点に関して、文科省は現時点での有効な対策がないとして導入延期を決めたとのことです。